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2020年3月19日木曜日

【新犬鳴トンネル】どうしても物申したいことがある

ホラー動画が好きで嫁さんとよく見ております。


Youtubeだと「ゾゾゾ」とか「Mtv」とかのファンです。

で、いつも楽しませて頂いてるのですが、一つだけどうしても納得できないことがある。



「新犬鳴トンネル」です。

トンネル内に謎の横穴があり、その詳細を誰も知らない、という触れ込みなのですが・・。


一応土木技術者の端くれとして、ツッコミどころが多数あるのです。


1.歩道が狭すぎてヤバい

結論から言うと、このトンネルには歩道そのものがありません。
直前の映像から察するに、この道路(県道)には歩道が設けられていないため、そもそも歩行者交通の少ない道路なのでしょう。
道路脇の広くなっている部分は「路側帯」です。歩行者用の専用スペースではないので、当然のごとく歩行者向けの安全対策など取られていません。

で、トンネル内で歩道のように見えている部分は「管理用通路」です。
トンネルも土木構造物で、経常的な維持管理を目的とした通路なので、必要最低限の幅員しか確保されていません。

では何故必要最低限の幅しか確保しないのかというと、おそらくコストの問題かと思われます。
というのも、山岳トンネルというものは非常にお金がかかる構造物で、1mあたり100万円なんて余裕で超えてきます。
そこに歩行者用の歩道(2.5m程度)を設けた場合、それだけでトンネルの断面が大幅に広がるため、1mあたり数万円~数十万のコストアップになります。
歩行者が少なく、使われるかどうかわからない歩道にそこまでお金(税金)を掛けるほどの余裕が県にあるんでしょうか?
私は無いと思います。


2.途中の壁にある塞がれた穴

塞がれてないです。そこまでしか掘っていないだけです。
防災設備等を設置するために、局部的に壁面を掘り込む「箱抜き」と呼ばれるものですが、何故そんな中途半端な状態で放置されているのかは不明。


3.謎の横穴

謎でもなんでも無いです。「転回場」とか「転回坑」と呼ばれるものです。
工事中、重ダンプ等で掘った岩を場外搬出する際、通常はターンテーブルと呼ばれる機器を使用して方向転換を行うのですが、何らかの要因によりターンテーブルの使用が不適と判断された場合、このように切り返し用に数m~10数m程度の横穴を掘って対応することがあります。
この横穴は仮設であるため工事完了後は必要なくなるのですが、残しておいても構造上問題なく、穴の閉塞コストもそれなりに掛かってしまうことから、塞がずに残しておく場合もあります。
新犬鳴トンネルの場合は残しておくことになったのでしょう。
途中で塞いでいる、という意見も動画中では出てきますが、途中で塞いでいるのではなく、そこまでしか掘っていないのです。
周囲や突き当りをコンクリートで固めているのは、山肌が剥がれて落ちてくるのを防ぐためです。
入口部分を縁石で塞いでいるのは一般車両が誤って入り込むのを防ぐためです。
現在は経常維持工事のための資材仮置場等として、必要に応じて利用されているものと思いますが、車両の進入は縁石で防げても、歩行者の進入までは防げないのでゴミの不法投棄等で荒らされているように見えます。


と、いうわけでそれなりに事情を知っている人間から見ると、ツッコミどころが多数存在するわけで、世の中にある謎扱いされているものの多くは、見る人が見れば突っ込みどころがボロボロ出てくるのではないかと、そう感じた次第です。

※別にゾゾゾさんを否定しているわけではありませんのであしからず。






5 件のコメント:

  1. なるほど!完全な解説ありがとうございます!これで夜ゆっくり眠れます。

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  2. いやほんとです。
    完全な解説ありがとうございます。
    私もすっきり眠れそうです。

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  3. 横穴の事がずっと何年も気になって調べていました。
    ありがとうございました。

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  4. 貴重な記事をありがとうございます。
    専門業者にしてみれば常識でも、一般人から見れば謎なんですよね。
    またひとつ世界を知れて、今夜もぐっすり寝れます。

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  5. 横穴なんだったの~と検索して辿りつきました。なるほど!
    私も実はゾゾゾさんで紹介されたとあるスポットの元従業員で謎の遺留物の正体なんかも知っていたりするんですが、ホラーエンタメをうたっているので動画内では謎は謎にしておいたほうがおさまりがいいんでしょうね。

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